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50回、100回と遊んで見えてくるもの
- 制作ユニット・ロクジゾーとしては、ずっとカードゲームをつくっていらっしゃいますね。
- ロクジゾー
- ロクジゾーといえばカードゲーム、というイメージが強いのには理由があって。単純に、制作コストが安いからなんです。内容物を増やすとコストが上がるだけでなく、箱が大きくなって在庫の場所も取ります。だから、うちは最初からカードゲームと決めていました。制約があるほうが、燃えるんですよね。
- コスト以外にも、カードゲームならではの魅力はありますか?
- ロクジゾー
- 使える枚数が少ないと、余計な要素は入れられません。そうすると、システムが剥き出しの私好みのゲームに近づいていくんです。そこが魅力ですね。あれもこれも入れたい気持ちをぐっとこらえて、本当に必要なものだけを残す。その取捨選択自体が、わりと好きな作業なんですよね。
- 制約が、むしろ創作意欲につながると。
- ロクジゾー
- はい。『32LDK』も、まさに制約から生まれたゲームです。もともとは別のゲームを出す予定だったのですが、直前になって諸事情で出せなくなってしまって。急遽、なにかつくらなければならなくなったんです。
- 急な話ですね。プレッシャーはありましたか?
- ロクジゾー
- ありましたね。でも、そのぶん余計なことを考える余地がなかったのは、逆によかったのかもしれません。締め切りがあるからこそ、迷わず決められた部分もありました。
- それで、32枚という枠組みが?
- ロクジゾー
- そのときもアートワーク担当の相方が忙しくて、私ひとりで完結できるものにする必要がありました。それも数週間後のイベントまでに。キャラクターなどは描けないので、数字だけでテーマなし、という方向に決めて、プロトタイプ版の完成を急ぎました。その後、次のイベントまでにはアートワークをイラストレーターさんにお願いして、完成版をつくったんです。
- 元になったゲームはあるんですか?
- ロクジゾー
- 友人のゲーム会で遊んだ、すごろくやさんの『大人が楽しい トランプゲーム30選』に載っている『大人用ぶたのしっぽ』です。ふつうの『ぶたのしっぽ』は4つのスート(マーク)を使いますが、大人用は赤か黒かの2色だけなんです。2色になったことで、おもしろさがぐっと上がっていて。ただ、2色だと偶数人でしか遊べないのが、もったいないなと思ったんです。あと、めくったときの成功確率を、赤黒の50%だけでなく、1〜99%のように幅を持たせたら、もっとドラマが起こるんじゃないかと。
- それで32LDKに。テストプレイでの手応えはどうでしたか?
- ロクジゾー
- 「1〜32」の数字カードを使い、小さい数字を出したらカードを引き取る、というルールで最初のテストプレイをしました。荒削りでしたが、手応えはありました。ただ、「32」のカードを持っている人がダントツで強すぎて、自分の一つ前の人が「32」を持っていると絶望感を味わうんです。テストプレイをしてくれた方々はこれで十分おもしろいといってくれたのですが、納得がいかずにずっと考えていましたね。2週間くらい考えて、相手の手札を選ぶルールがバシッとハマったときは、「これでようやくゲームを出せる」とホッとしました。
- テストプレイは、どのように進めるんですか?
- ロクジゾー
- たぶん、ほかのゲームデザイナーよりもひとりでプレイする回数が多いと思います。50回、100回くらい、ひとりで何人分も担当してプレイしてみて、「ここで悩むはず」「ここで緊張感が増すはず」「ここで笑うはず」というのを見極めてから、ほかの人とのテストプレイに進みます。そのポイントがちゃんと発生するか、発生したときの表情はどうか、というのを観察しています。
- ひとりで何十回も遊ぶというのは、根気がいる作業ですよね。
- ロクジゾー
- そうですね。でも、そこを飛ばして人に見せてしまうと、おもしろいポイントがぼやけたままな気がして。遠回りに見えて、結局はいちばんの近道だと思っています。
- ひとりで検証し切ってから人に見せる、というのは、ある種の自信の表れでもありますよね。
- ロクジゾー
- 自信というより、確認作業に近いかもしれません。自分がまず本当におもしろいと思えるかどうか、そこだけは妥協せずに確かめてから、はじめて人に見せるようにしています。
