3歳児向けのボードゲームを探していると、たいてい名前が挙がるのがHABA社の『はじめてのゲーム・果樹園』。わが家でも試してみたところ、3歳6か月の娘がすっかり夢中になってしまいました。
ルールはとてもシンプルで、手番ごとにサイコロを振り、出目に対応した色の果物を集めきることがゲームの目的となっています。贅沢な光沢感とともに鮮やかな赤・青・黄・緑に塗られた木製の果物は息をのむ美しさで、適度な重みもあって、モノとしての満足度が非常に高いです。正直、購入前は価格にすこし躊躇しましたが、この果物を入手するためだったと思えば、むしろ納得の価格だと感じるようになりました。
全4色の果物は4つずつあり、16個すべてを集めきればプレイヤー側の勝利です。ただし、サイコロの出目には果物だけでなく、カラスも含まれています。カラスの目が6回出てしまうと、果物をすべて集める前に果樹園へ侵入されてしまい、ゲームはプレイヤー側の敗北。つまり、これは「全員 vs カラス」という協力型のゲームで、プレイヤー同士で競い合う要素がありません。勝ち負けを気にしすぎない子どもでも、安心して楽しめる優しい仕組みです。
ゲーム中の判断要素は少なめで、基本的にはサイコロを振るだけの進行なので、プレイヤー側の人数が増えてもやることは変わりません。そこでわが家では、娘のお気に入りの人形やぬいぐるみたちも参戦。娘が彼らの代理としてサイコロを振り、それぞれが協力して果物を集める、というスタイルで楽しんでいます。
サイコロの6面のうち、4面が果物(赤・青・黄・緑)、1面がカラスであることはすでに書いたとおりですが、最後の1面には任意の果物を集めることができる、果物カゴが描かれています。この果物カゴがまた秀逸で、じつはここが唯一、プレイヤーにちょっとした判断が求められる部分です。たくさん残っている色を優先すれば効率よく進められる、という感覚を自然と学ぶことができます。
もちろん、サイコロ運によって勝敗が左右されるため、カラスが一気に進んであっけなく敗北することもあれば、カラスが一歩も動かないまま勝利することもあります。ある日、カラスに勝ったあと、わたしが「カラスがとぼとぼと果樹園から帰っていった」と演じてみせたところ、娘が「カラスさんも招待して、みんなで果物パーティをしよう」と言いました。それ以来、わが家の「勝利の儀式」は、カラスも交えた果物パーティになりました。
こうしたやりとりが自然と生まれるのも、このゲームの持つ優しくて愛らしい世界観ゆえだと思います。親子で協力し、遊びながら社会性や思いやりも育まれていく。そんな体験を与えてくれる『はじめてのゲーム・果樹園』は、初めてのボードゲームとして心からおすすめできる逸品です。
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