歴史や伝説の人物から着想を得た12人のファイターから2人を選んでタッグチームを組み、両者同時にめくる順序固定のカードで技を繰り出しつつ、ラウンドごとに新しい1枚を任意位置に差し込みながら、相手チームを先にノックアウトする、格闘対戦ボードゲームです。
個性あふれるファイターたちが、テレビゲームの格闘対戦を思わせるはちゃめちゃな攻防を、テーブル上で繰り広げます。
各自の手元には戦闘デッキ(場に出すカードの山)があります。最初は順序を決めた2枚からスタートし、ラウンドごとに1枚ずつ増えていきます。両者が同時にトップをめくり、攻撃、防御、パワー増減などのアクションを処理していきます。
戦闘中、出すカードを自分で選ぶ余地はありません。あらかじめ決めた順番で、淡々と処理が流れていくのです。最初は「え、それでゲームが成り立つの?」と不安になるかもしれません。
実は私自身、原語版の初プレイ時はルール解釈を誤り、「カードを手札から自由に選んで出し合う」ものと思って遊んでいました。それでも十分面白かったのですが、「差し込む」の意味が引っかかって説明書を読み直し、ようやく核心に気付きました。
順番を変えられないからこそ、その「分かっている起こること」を変えるためのカード選びと、差し込む場所選びが、未来を変える今の一手のような重みを帯びてくるのです。
思わず友人たちと「うわあ、おもしれー!」と声をあげてしまいました。
戦闘デッキを使い切ったラウンド末、編成デッキから引いた3枚から1枚を選び、次ラウンドの戦闘デッキの任意位置に差し込みます。
相手の直前の動きはどうだったか。次ラウンドの勝負どころはどこか。それを読み取り、3枚から最適な1枚を狙いのタイミングに差し込むのが、このゲームの醍醐味です。
次ラウンドへの対応だけに気を取られず、「今は効果が薄くとも、後々の布石となる1枚」を仕込む発想の転換も、勝敗の鍵となります。
特定条件で発動する強力なボーナスアクションを持つカードも多彩で、直後に代償を払ってでも「仕込み」を組み立てる駆け引きが熱いのです。瀕死から一撃必殺の劇的な逆転もたびたび起こります。
タッグ編成ならではの妙味もあります。相手の攻撃にただ「防御」を当てるだけでなく、攻撃対象をパートナーへ切り替える選択も生まれ、戦況の流れも変えられます。
12人のファイターは、それぞれ固有能力とカードセットを持ち、持ち味がまったく違います。
「フェアリー」は、なんと3体の妖精で構成されたファイター。1体が倒れても次が出撃し、仲間が倒れるほどパワーアップしていきます。
「シャンゴ」は、追加のアフレイムチップで敵を少しずつ炎に晒し、5枚を1体に集中させると「灰化」で即死させる焼滅の戦士。
「ママン・ブリジット」は、ダメージを与えすぎると蘇生する不死の呪術師で、「ほどよいダメージ」でしかKOできない厄介者。
ほかにも、大艦隊を率いる船長や、怒りで熊戦士に変身する戦士など、テレビゲームでは再現しづらいイマジネーション豊かな能力が、ボードゲームならではの仕掛けで成立しているのも魅力です。
はじめは最初に選んだ2人を極めようと何度もプレイしますが、やがていろいろなキャラクターを使い、組み合わせを試したくなります。
タッグの組み合わせは66通り。遊びきれないほどの豊かさです。
全キャラクターの特性が見えてくると、開始時に1人1キャラずつ交互に選抜するドラフトも熱くなり、対応力が問われます。
ファイターたちのイラストは繊細かつ華やかに「かっこよく」描かれ、大きなファイターボードがチーム戦闘を彩ります。
各カードも効果ごとに異なるイラストが用意され、その絵が雰囲気を伝えます。加えて、特殊効果ごとの専用トークン、カード上下を入れ替える仕掛け、ボード裏面を使うギミックなど、楽しい仕掛けが満載です。
テレビゲームの格闘ゲームが好きな方にはそのオマージュ、駆け引きや読み合いが好きな方にはカード差し込みの新しさ、トレーディングカードゲームに慣れ親しんだ小学校高学年の子にも「似ているのに違う戦略が必要なスピーディーな格闘ゲーム」として届く、懐の深さが魅力です。
こうした、テレビゲーム的な格闘対戦ゲームの熱狂に、この『タッグチーム』は、「差し込み」というボードゲームならではの先読みと仕込みの駆け引きを加えることで、格闘対戦ゲームの醍醐味を新たな奥行きへと進化させているのが特徴です。
2人タッグで戦う格闘対戦の醍醐味が味わえる1作として、たいへんおすすめです。
ぜひ遊んでみてください。
本作の楽しさを日本に広めたいと考え、配布用の体験版『タッグチーム:木人バトルセット』を制作しました。
本編には登場しない練習用ファイター「木人」が赤と緑で2体登場し、両者が同じカードセットで戦います。各自8枚のカードにはこのゲームの「差し込みの妙」が凝縮されており、短時間で本作の核を味わえます。メーカーからも賞賛いただき、木人のイラストはオリジナル版のイラストレーターによる描き下ろしとなっています。
購入すると、この評価に応じた
報酬が執筆者に発生します。